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定本 物語消費論  大塚英司 2001年刊

定本 物語消費論  大塚英司 2001年刊

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店長おすすめ本

消費とは、欲望ではなく“意味”を求める行為なのかもしれない。

『定本 物語消費論』は、オタクという文化の枠を大きく越えた位置から書かれた本です。前作『Mの世代』との接続で読むならば、大塚英志氏の視点は、すでに「家族」や「社会的通過儀礼」を再構築することが可能なのかという問いそのものを疑い始めているようにも見えます。

本書はタイトルの通り、「物語を消費する」という現象について考察した本です。ビックリマンチョコのブームやディズニーランドといった事例を通して、90年代に現れ始めた新しい消費のあり方を読み解こうとしています。そこでは、人々が単に商品を消費するのではなく、その背後にある世界観や物語に参加する形で消費するという特徴が浮かび上がってきます。

読んでいて感じたのは、人間という存在は常に「物語」を求めてしまうものなのだということです。物語とは、ある種の理想や希望を信じさせてくれるものであり、同時に自分自身を肯定させてくれる装置でもあるのかもしれません

父権の弱体化による家族の揺らぎは、単なる崩壊ではなく、新しい家族の形を模索する過程でもあったのだと思います。さらに90年代以降、日本社会は長期不況へと入り、いわゆる「成長神話」のようなものは徐々に力を失っていきます。そうした時代のなかで、人々は身近な場所に小さな物語を見つけ、そこに一時的にでも没入することを求めるようになったのではないでしょうか。そしてマーケットは、その欲望を巧みに取り込みながら、物語を伴った商品やサービスを次々に生み出していきます。

その結果、かつて「オタク」と呼ばれていたような一部の人々だけではなく、さまざまな趣味や関心を持つ人たちが、それぞれに没入できる世界を求め始めた時代が90年代だったのではないかと思います。

私の記憶でも、80年代と比べると90年代は、日本がどこか失速し始めているような空気を感じる時代でした。一方でWindows95の登場によってインターネットが普及し始め、オタクやサブカルチャーと呼ばれる人たちのコミュニケーションは、メディア空間のなかでより活発になっていきます。そうした変化のなかで、オタクという言葉が持っていたネガティブなイメージや、そもそもその言葉で特別に名指す必要そのものも、次第に薄れていった時代だったのではないかと思います。

 

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