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江戸の想像力 田中優子 筑摩書房 1992年刊
江戸の想像力 田中優子 筑摩書房 1992年刊
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店長おすすめ本
江戸は閉じていたのでわなく、流れ、そして、連なっていた
江戸時代は鎖国によって閉ざされた社会だった――
その常識を、本書は静かに問い直していきます。
本書は、江戸三部作の第二作として最もおすすめしたい一冊です。
江戸時代は鎖国によって閉ざされた社会だった――
その常識を、本書は静かに問い直していきます。
本書の冒頭には、江戸時代に流行した装飾革「金唐革(きんからかわ)」が登場します。異国趣味と江戸的美意識が融合したこの工芸品を、事前に写真などで目にしておくと、本書が提示する「想像力」というテーマが、より具体的に立ち上がってくるかもしれません。
本書が描き出す江戸は、「鎖国」によって外界と断絶された社会ではありません。
平賀源内に象徴される、外へ向かって走り出そうとする動的なエネルギーと、上田秋成『雨月物語』に見られる、過去や東洋への憧れに立ち返ろうとする静的な志向。その両極が、江戸という奔放さを内包した大きな器の中で、ぶつかり合い、混じり合い、変容していきます。
とりわけ印象的なのは、平賀源内を「何かを発明した天才」としてではなく、「人をつなげ、場を生んだ人物」として描いている点です。そのミステリアスさと器の大きさは、江戸の知が個人の才能ではなく、関係性の中で動いていたことを雄弁に物語っています。
また、美術や工芸を鑑賞の対象としてではなく、娯楽やビジネスとして捉える視点からは、江戸の経済の循環や、人々の生き様が生き生きと立ち上がってきます。解体新書の仕事が、異なる個性をもつ複数の人物による協働の成果として描かれる点も示唆的です。そこでは、「個」ではなく「集合」として知が立ち上がっていきます。
――18世紀日本に確かに存在したその流動性を、本書は鮮やかに浮かび上がらせています。
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